「裸足」


裸足で歩くの。
何処をなんて言わないけど。

例えば太陽の光が降り注ぐ浜辺。白い砂浜がね、キラキラしてて綺麗なんだ。
それでね、打ち寄せてくる波が子犬みたいに足に纏わり付いて、私を攫おうとするの。
例えば月光降り注ぐ森。闇色の緑がざわざわ言うの。誘うみたいにざわざわって。
だからあたしは迷ってしまうの。
例えば朝靄の中の街。硬い石畳が冷たいの。時々落ちてる物が足を傷つけるの。
そしてあたしの足は血だらけだわ。

ねぇ、何処が優しいのかしら?
何処でもいいんだけどね。だって何処だって同じなんだもの。

貴方居ないし。

あたし生きてるし。