ばーか。

何に魅せられてるのさ。

あたしはこっちじゃん。

そっちには海しかないじゃん。

ばーか、ばーか。

こっち向けよ。

確かにあたしは綺麗じゃないけど。

金銀財宝なんかとは比べ物にならない存在けど。

でもあんたの隣に居るじゃん。

綺麗なものは大きい水の怪物の向こうじゃない。

どっちの方がお得だと思ってんだよ。

ばーか、ばーか、ばーか。

そんなんじゃいつか見捨てられるぞ。

あたしに見捨てられるぞ。

そしたらあんたは終わりなんだからな。

あたし以外にあんたを好きになる奴なんか居ないんだから。

隣見ても誰も居なくて寂しいのはあんただぞ。

そうなってから泣けばいいんだ。

ばーか、ばーか、ばーか、ばーか…

ねぇ。

こっち向いてよ。

ほんとに居なくなるぞ。

後で後悔しても知らないぞ。



「実はよぉ、今度―――――」



…………ばーか。

あたしのばーか。